ダイヤモンド
「え?どうしたの?」
不思議そうにオレを見上げる大きな瞳。
「いいから、来いよ。」
少し引っ張ると、何も言わずについてきた。
エレベーターに乗って6階のボタンを押す。
何も話さないまま6階に着き、部屋の鍵を開けた。
久しぶりのこいつの甘い匂いが鼻をくすぐる。
髪からかな…?
それとも、体から…?
分からないけど、こいつの匂いはオレにとってはアロマみたいなもの。
一緒にいると落ち着く香り。
「私ね。前の彼氏のこと、結構引きずってたんだ。」
“勿論、淳と付き合う前のことだよっ!”
フォローを入れながら、こいつは昔の自分のことをオレに話してくれた。
初めて聞いた。
お互いに元カレ、元カノがいることぐらいこの歳になれば当たり前だし、特に追及しようともしなかったから。