ダイヤモンド


「え?どうしたの?」


不思議そうにオレを見上げる大きな瞳。




「いいから、来いよ。」




少し引っ張ると、何も言わずについてきた。





エレベーターに乗って6階のボタンを押す。




何も話さないまま6階に着き、部屋の鍵を開けた。







久しぶりのこいつの甘い匂いが鼻をくすぐる。



髪からかな…?


それとも、体から…?




分からないけど、こいつの匂いはオレにとってはアロマみたいなもの。


一緒にいると落ち着く香り。





「私ね。前の彼氏のこと、結構引きずってたんだ。」


“勿論、淳と付き合う前のことだよっ!”



フォローを入れながら、こいつは昔の自分のことをオレに話してくれた。




初めて聞いた。



お互いに元カレ、元カノがいることぐらいこの歳になれば当たり前だし、特に追及しようともしなかったから。







< 82 / 139 >

この作品をシェア

pagetop