最初最後彼氏!
「雄に聞いたんですか?」

「聞いただなんて。そんな探るようなことしないわ。雄君から言ってきたのよ。」

雄から・・・?もう、別れちゃったからどうでもいいの?なんでも誰にでも・・・、話せちゃうの・・・?

「雄君が『あいつと別れた。もう・・・、好きにしろ。』って言ってたわ。だから、雄君が高校卒業するのと同時に式を挙げちゃおうかなって思っているの。」

・・・雄からしたら、あたしって、やっぱ軽い気持ちで付き合った関係だったのかな・・・。

「まぁ、あなたと付き合っていようがいまいが、雄君はあたしの“婚約者”だからどっちにしろ結婚するけどね?」

返す言葉が現れない。

婚約者に、勝てるわけがないよ・・・。

思わず涙がでそうになる。

もう・・・、嫌だよ・・・。

「お客様。なにかうちの小村がご迷惑をおかけしましたでしょうか?」

えっ?・・・翔平?

「いいえ・・・。なにも。」

「そうですか。それでは、失礼いたします。ごゆっくりどうぞ。」

といって頭を下げる翔平。

あたしも慌てて頭を下げて、翔平といつもの位置へ戻る。

「翔平・・・、ありがとう。助かったよ。」

お客様に聞こえないように話す。

「なぁ、あいつって奈美の知り合いか?」

・・・痛いところつかないでよ。

「雄の、婚約者。」

「こっ!?こんにゃく!?」

「翔平!声大きい!それにこんにゃくじゃなくて婚約者!」

「あぁ、悪い・・・。それより本当なのかよ。婚約者って。」

「本当だよ。でも、今のあたしには関係ないから。」

「なんで?」

「別れたの。雄と。っていうか、振られちゃった。」

翔平は目を見開いて驚いてる。

「・・・奈美。今日は送るから、バイト終わったら一緒に帰るぞ・・・。」

多分、そのときに話すのだろう。

覚悟決めておかないと、あたし、きっと泣く。

でも、翔平にはちゃんと話さないといけない気がした。

だから、頷いて返事をした。

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