最初最後彼氏!
「少々お待ちください。」


美人の受付嬢さんが電話で確認。


「ではご案内いたします。こちらへどうぞ。」


だんだん手が震えてくる。

それに気付いた雄はそっと握ってくれた。


「大丈夫だから。なっ。」

「・・・うん。」



エレベーターに乗って、18階まで行く。



案内人の人がノックをする。


「社長、お客様です。」

「どうぞ。」



ガチャ


奥の社長イスに深々と座っている・・・雄のお父さん。



「雄か。・・・隣の方は?」

「彼女。」

「あっ、初めまして!小村奈美です!突然申し訳ありません!」


なんだろう・・・この威圧感・・・。


「まぁ、座ってください。」

「親父、いきなりなんだけどさ。」

「・・・花恵さんのことか?」

「あぁ。やっぱ無理だわ。婚約取り消ししといて。」

「最初は素晴らしいお嬢さんだと思ったんだがなぁ。その子も原因か?」


ズキッ・・・

胸が痛んだ。

やっぱりあたしが雄と雄のお父さんに迷惑かけてるのかなぁ・・・。



「俺は、こいつしか無理。つか、こいつのために"高杉"を捨ててもいい。」

「そんなに惚れ込んでいるのか。」

「なんか悪ぃか?」

「いや、悪くはない。」


なんか複雑・・・。



「そうだなぁ・・・。そう簡単にできることじゃない。

だから、こんど改めて花恵さんと花恵さんのお父さんと話をしてみるか。」


「あぁ、頼むわ。」

「とりあえず今日は帰ってくれ。これから会議なんだよ。」

「・・・またくる。」



「しっ、しつれいしました!」


先にでていってしまった雄のあとを追いかけようとする。


「奈美さん。」

「えっ?あっ、はい・・・。」

「私は雄に今までひどいことをした。本当は分かってたんだが、あいつが変わるたびに話すことができなくなっていた。・・・それで結局、愛想を尽かして放置していた、みたいになってしまったんだ。」

「そ・・・う、だったんですか?」

「あぁ。だからあんまり婚約で縛ることはしたくない。・・・私も昔とだいぶ変わったよ。この前までは絶対に花恵さんと結婚させるつもりだったが、電話であいつの本音を聞いたときに思ったんだよ。」


「聞いても良いですか・・・?」


「雄は・・・。」












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