最初最後彼氏!


・・・ついにきてしまった。

この日が。

朝から憂鬱で仕方なかった。

今日はそのこともあって、雄は学校を休んでいる。

「はぁぁぁ~。」

「幸せ逃げるよ?」

美奈の言葉に反応する元気もない。

だって・・・、心配だしさ?

雄のことが。

もしも、花恵さんが雄に接近しちゃったら・・・、とか、雄のお父さんが「花恵さんと結婚しないとお前の未来はないぞ!」とか言ってたら・・・。

なーんて、土曜サスペンス劇場のドラマでありそうな物語が頭に浮かんでくる。

「そんなに高杉のこと心配なの?」

「うん・・・。だって、婚約者が来るんだよ?もし、雄が心変わりとかしちゃったら、あたし立ち直れない・・・。」

すると美奈は少し怒ったような呆れたような顔であたしのほっぺを左右に引っ張った。

「みにゃー。いふぁいー。」

「あんた、高杉のこと信じてないの?好きなんじゃないの?好きなんだったら心からその人のこと信じないと行けないんじゃないの?違う?」

・・・確かに美奈の言う通りだ。雄がどっかに行っちゃうなんて考えてるなんて雄のこと信じてないって証拠だよね。

「高杉も言ってくれたんでしょ?奈美が好きって。あれだけ遊んでた高杉が、1人の女の子と長々付き合うなんて、その女の子のことを信じてるってことでしょ?」

・・・この前、雄の思い出の場所に行ったとき雄が言ってた。

俺を信じろって。

そのときあたしも雄を信じて待ってるって言った。

バカだなぁ。あたし。

約束したのに雄のこと信じてないなんて。

・・・もう、雄がどっかに行っちゃうなんて考えるのはやめよう。

今、考えるのは雄のこと。雄を信じてるってこと。

それだけ。

そして、雄が帰ってきたときは思いっきり抱きしめてあげよう。

「おかえり!」って言ってあげよう。

「美奈・・・。ありがとう。この前、雄と約束したんだ。お互いを信じるって。だから、あたしが変なこと考えてそうなときは叩いて良いからね?」

「奈美!女は気合いだからね!頑張るんだよ!あたしはいつでもどんなときでも奈美の味方であり協力者だからね?」

といってニッコリ笑ってくれた。

少し元気が出た。

・・・雄を最後まで信じよう。
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