最初最後彼氏!
もちろん俺は婚約者とはいえ結婚するなんて冗談じゃねぇと思っていた。

だから、女遊びをやめなかった。

でも、高校に入って、少しは女遊びをやめることにした。

というか、ヤらなくなった。

小村奈美が現れたからだ。

茶色が混じった黒髪。

艶のある柔らかそうな唇。

なにより、普通の同級生。

女なんて臭い香水つけて、不気味な笑顔で笑って、やたらと俺に触ってきて、インコみてぇにバカ高い声で話してきやがって・・・。

本当にうざったかった。

でも、あいつは逆に俺のことが嫌いみたいで近寄ろうとしなかった。

あいつが友達の並山に見せる笑顔や、並山と楽しそうに話す声を聞いて他のバカみたいな女とは違うことが分かって、いつの間にか好きになっていた。

お試し恋愛から始まって、本当に手に入れることが出来た。

これ以上ない幸せだった。

そして、ある日親父から一本の電話があった。

内容は、俺と親父と花恵さんが会って話をする、と言うことだった。

これを聞いたら奈美は悲しむのか・・・?

すると、ひとつの場所が思い浮かんだ。

あっ・・・、母さんの場所だ・・・。

そうだ、あそこに行けば・・・、俺は・・・。

そう思って奈美を母さんの場所に連れていき、全てをうち明けた。

情けねぇな。俺。泣くなんて。

俺は、奈美を信じる。そう伝えた。

すると、奈美も俺を信じて待ってる。と言ってくれた。

・・・多分、奈美は気づいてないだろうな。

奈美が「信じて待ってる」って言ってくれただけで俺がどれだけ救われたのか。


だから、俺は奈美のために、親父と花恵さんに決着をつけるんだ。

俺と奈美の未来のために。


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