最初最後彼氏!
当日。昼。14時。
突然家のチャイムが鳴った。
ピンポーン・・・。
ついに来たか。
メイドが開けたらしいドアの音が聞こえる。
楽しそうな笑い声。
・・・うざってぇ・・・。
こんな笑い声じゃなく、俺は奈美の声を聞きたい。
そんな事を考えていると、客間の扉がいきなり開いた。
「おぉ。雄、元気だったか?」
んなこといちいち聞くなよ・・・。
つか、聞くくらいならなんで家出てくんだよ。
「雄君!久しぶりね!会いたかったわ!」
といって俺に笑顔を向けてくる花恵さん。
「雄君も大きくなったなぁ!ますますかっこよさに磨きがかかったんじゃないのかい?」
微笑みながら俺を見てくる佐山さん。花恵さんの父親。
「お久しぶりです。皆さんもお元気そうで・・・。」
ばれない程度の苦笑いを浮かべて親父達に話しかける。
家族以外の人がいるときは、親父に敬語をつかう。昔からの決まりだ。
「佐山さん。どうぞお掛けください。」
といって親父は俺の横に座る。
佐山さんと花恵さんは俺と親父の向かいに座る。
ちょうど、俺の前に花恵さん、親父の向かいに佐山さんと言う形で。
全員が座ると、佐山さんが口を開いた。
「全員そろったと言うことで、私と高杉さんは抜けて、花恵と雄君、二人で話しをしててくれ。」
まるでお見合いの「後は若いお二人で」って言うのと同じ状況。
親父達はなにか資料をもって客間から出ていった。