最初最後彼氏！

しばしの沈黙のあと、花恵さんが口を開く。

「雄君、また格好良くなったんじゃない？あたし本当に幸せ！雄君と婚約者だなんて！」

今のを聞いて俺は確信した。

花恵さんが見てるのは俺であって俺じゃない。

花恵さんが見てるのは俺の外側だけだ。

俺の内面なんて一切見ていない。

つーか、婚約者なんて認めてねぇし。

「婚約者・・・ですか・・・。一つ言っておくことがあるんです。俺、今彼女がいるんです。」

すると花恵さんは目玉が落っこちそうなくらい目を開いた。

「いきなりこんな事を話してしまい、すみません。でも俺は・・・」

「ふざけないで。」

あ？

「ふざけないでよ！雄君はあたしの婚約者でしょ！？なんで彼女なんてつくってるのよ！早く別れてよ！なんで・・・、なんで他の娘を見るの？あたしだけを見てよ！」

・・・はぁ？何言ってんの？こいつ。

元から花恵さん・・・、もうコイツでいいや・・・。

俺はもとからこいつの事なんて眼中になかった。

「あたし・・・、会ってなかった間もずっと雄君のこと考えてた・・・。早く会いたいって。早く結婚したいって。なのに、なんで？会えないから不満があったの？」

不満？大ありだよ。婚約者がいる時点でな。

てゆーか、全部、嘘だろ。

男と関係もってんの知ってるんだけど。

「どうせ、彼女っていってもブスなんでしょ！？あたしより可愛い娘なんていないわ！そんな子と付き合ってても雄君が疲れるだけよ！あたしだったら絶対、雄君とも釣り合うから！早く別れて！」

もはやヒステリックになってるな・・・、こいつ。

つーか、さっき、ブスって言ったよな。マジむかつく。

奈美のこと何にも知らねぇくせに、あいつがどれだけ可愛いかも知らねぇくせに。

「ブス・・・？ふざけんじゃねよ。言っとくけどなぁ、あいつはお前と比べもんになんねぇくらい可愛いんだよ。二度とブスなんて言うんじゃねぇ。次言ったら、マジ殺す。」

目の前にいるこいつは顔を真っ赤にして少し悔しそうな顔でうつむいてる。