薔薇部屋
愛し愛され
少し昔に遡り、ミキの父と母であるユミとユウジの話
二人は、とあるティーパーティーで出会った…―退屈なパーティー、女性も皆似たような服を着ていて、つまらない、興味すらわかない
ユウジは、金持ちの息子である自分に、こんな退屈な場所に来なければいけない立場に、飽き飽きしていた
「どこを見ても白白白…―自分を主張できる強い女ってのはいないものか…なんて、いないか」
紅茶もマズイ、甘みが足りない
言い寄って来る女もつまらない
溜め息しか出ない
そんなユウジのそばに、また一人の女が近寄っていった
「あら、溜め息なんて、幸せが逃げてしまいますわ」
「ふぅ…逃げていく程の幸せなんて、持ち合わせちゃ…―」
女性の顔に仕方なさそうに目をやった…―ユウジは息をのんだ
そして言葉が出なくなった
「良いお家のお坊ちゃんが、何を言っていらっしゃるのかしら」
ふふ、と笑う女は美しかった…―美し過ぎた
薔薇の柄の真っ赤なドレス
誰よりも目立っているのに、違和感はなく、むしろその赤が彼女の美しさを一際引き立てていた
「ん?どうしたんです?退屈そうなお坊ちゃん」
思わず看取れていたユウジは、我にかえった
「あー…お坊ちゃんはやめてくれないか?君と対して変わらない年齢だろう?」
「えぇ、でも私は、一般庶民と対して変わりませんから」
彼女は胸につけた薔薇のブローチに触れながら、ユウジに負けじと退屈そうに言う
「…と、言うと?」
ユウジがそう聞くと、彼女は少し笑いながら「ユミ」と一言いった…―ユウジはきょとんとする
そんなユウジの顔に、彼女は小さく声を上げて笑った
「私の名前です。覚えて?」
「あ、あぁ、ユミ…分かった」
名を名乗ったのは分かったが、質問とは違うその返答に、ユウジはやはり不思議そうな顔をしたままだった
「初めて会った人に自分のことを深く話すと思って?良かったら、ゆっくり知っていってください」
そう言ったユミは、ユウジに有無を言わせぬまま手を差し出した
「それで?あなたのお名前は?」
強い女、美しい女…―優しい女…ユミ
「あぁ、ユウジだ。よろしく、Ms.Yumi」
それがユウジとユミの初めての出会いだった
二人は、とあるティーパーティーで出会った…―退屈なパーティー、女性も皆似たような服を着ていて、つまらない、興味すらわかない
ユウジは、金持ちの息子である自分に、こんな退屈な場所に来なければいけない立場に、飽き飽きしていた
「どこを見ても白白白…―自分を主張できる強い女ってのはいないものか…なんて、いないか」
紅茶もマズイ、甘みが足りない
言い寄って来る女もつまらない
溜め息しか出ない
そんなユウジのそばに、また一人の女が近寄っていった
「あら、溜め息なんて、幸せが逃げてしまいますわ」
「ふぅ…逃げていく程の幸せなんて、持ち合わせちゃ…―」
女性の顔に仕方なさそうに目をやった…―ユウジは息をのんだ
そして言葉が出なくなった
「良いお家のお坊ちゃんが、何を言っていらっしゃるのかしら」
ふふ、と笑う女は美しかった…―美し過ぎた
薔薇の柄の真っ赤なドレス
誰よりも目立っているのに、違和感はなく、むしろその赤が彼女の美しさを一際引き立てていた
「ん?どうしたんです?退屈そうなお坊ちゃん」
思わず看取れていたユウジは、我にかえった
「あー…お坊ちゃんはやめてくれないか?君と対して変わらない年齢だろう?」
「えぇ、でも私は、一般庶民と対して変わりませんから」
彼女は胸につけた薔薇のブローチに触れながら、ユウジに負けじと退屈そうに言う
「…と、言うと?」
ユウジがそう聞くと、彼女は少し笑いながら「ユミ」と一言いった…―ユウジはきょとんとする
そんなユウジの顔に、彼女は小さく声を上げて笑った
「私の名前です。覚えて?」
「あ、あぁ、ユミ…分かった」
名を名乗ったのは分かったが、質問とは違うその返答に、ユウジはやはり不思議そうな顔をしたままだった
「初めて会った人に自分のことを深く話すと思って?良かったら、ゆっくり知っていってください」
そう言ったユミは、ユウジに有無を言わせぬまま手を差し出した
「それで?あなたのお名前は?」
強い女、美しい女…―優しい女…ユミ
「あぁ、ユウジだ。よろしく、Ms.Yumi」
それがユウジとユミの初めての出会いだった