薔薇部屋
お父様は言った…―ユミは、よく外を見る奴だったと
お父様は言った…―ユミは、ミキと同じ…原因不明の病だったと
お父様は言った…―ユミは、心優しき女性だったと
お父様は言った…―ユミは、ミキを産み落として死んだのだと
「お父様は、私を恨んでいるの?」
「なぜ、そう思う?」
愛する…愛して止まないお母様を殺して産まれてきた子供だから…―そう思ったがミキは黙って下を向いた
「恨むわけがない」
「…お父様?」
ミキはいつの間にかユウジの腕の中にいた…―そっと上を向くと、当たり前だが、そこにはユウジの顔がある
優しい目…何年ぶりかにしっかりと見ることができた父の顔…―いや、もしかしたら、こんなにしっかりと見るのは初めてかもしれない
「私とユミの大切な子、宝だよ、ミキは」
「でも…私は病気よ?」
病気でいつ死ぬか分からない世間知らずの鳥かごの中の姫君…―その姫君の父親は、ミキに優しく笑ってみせた
「大丈夫、ミキの病はきっと治る」
「どうして…そう、言い切れるの?」
小さい頃から外にすら出してもらえない…―お父様を困らせないように、聞き分けのいい子を演じてきたら、時が経つのはあっという間だった
もうミキはベッドの中の生活は嫌だった
身体に苦しみなんてない…―ただユウジがミキに言うのだ「お前は病気なのだ」と
死にたくない…ミキは確かにそう思った
しかし、この19年間は死に直結するほど退屈な日々だったのだ
「ミキ、明日で二十歳になるんだね」
明日で、世間で言う大人の仲間入り…―ベッドの中から、この鳥かごから逃げ出したい
「病気はきっと治る。だから、ミキ…」
あぁ、またこの言葉…―ミキは父の言葉にがっくりと肩を落とした
それはミキが19年間続けてきた事だった
「もう少し辛抱してくれ。いい子のミキは分かってくれるな?」
「…―はい、お父様」
きっと明日から、何も変わらない、大人としての日々が始まるのだろう…―ミキは悔しそうにベッドのシーツをきつく握り締めた
お父様は言った…―ユミは、ミキと同じ…原因不明の病だったと
お父様は言った…―ユミは、心優しき女性だったと
お父様は言った…―ユミは、ミキを産み落として死んだのだと
「お父様は、私を恨んでいるの?」
「なぜ、そう思う?」
愛する…愛して止まないお母様を殺して産まれてきた子供だから…―そう思ったがミキは黙って下を向いた
「恨むわけがない」
「…お父様?」
ミキはいつの間にかユウジの腕の中にいた…―そっと上を向くと、当たり前だが、そこにはユウジの顔がある
優しい目…何年ぶりかにしっかりと見ることができた父の顔…―いや、もしかしたら、こんなにしっかりと見るのは初めてかもしれない
「私とユミの大切な子、宝だよ、ミキは」
「でも…私は病気よ?」
病気でいつ死ぬか分からない世間知らずの鳥かごの中の姫君…―その姫君の父親は、ミキに優しく笑ってみせた
「大丈夫、ミキの病はきっと治る」
「どうして…そう、言い切れるの?」
小さい頃から外にすら出してもらえない…―お父様を困らせないように、聞き分けのいい子を演じてきたら、時が経つのはあっという間だった
もうミキはベッドの中の生活は嫌だった
身体に苦しみなんてない…―ただユウジがミキに言うのだ「お前は病気なのだ」と
死にたくない…ミキは確かにそう思った
しかし、この19年間は死に直結するほど退屈な日々だったのだ
「ミキ、明日で二十歳になるんだね」
明日で、世間で言う大人の仲間入り…―ベッドの中から、この鳥かごから逃げ出したい
「病気はきっと治る。だから、ミキ…」
あぁ、またこの言葉…―ミキは父の言葉にがっくりと肩を落とした
それはミキが19年間続けてきた事だった
「もう少し辛抱してくれ。いい子のミキは分かってくれるな?」
「…―はい、お父様」
きっと明日から、何も変わらない、大人としての日々が始まるのだろう…―ミキは悔しそうにベッドのシーツをきつく握り締めた