ダリア【SS】
それから僕たちは、猫を近くの公園に埋めた。
幸い陽が落ちた後で、人気は無かった。これなら悪戯で掘り返される事もない。
瞳子は花屋で買ったダリアを一輪、そこに添えてから静かに手を合わせた。
「瞳子、帰ろうか」
「ええ、そうね。ありがとう、貴方、やっぱり優しい人だわ」
自然と繋がれた右手は、暖かかった。
去り際、どこかで「にゃあ」と鳴く声が聴こえたような気がしたが、僕は振り向かなかった。