ダリア【SS】

それから僕たちは、猫を近くの公園に埋めた。

幸い陽が落ちた後で、人気は無かった。これなら悪戯で掘り返される事もない。

瞳子は花屋で買ったダリアを一輪、そこに添えてから静かに手を合わせた。

「瞳子、帰ろうか」

「ええ、そうね。ありがとう、貴方、やっぱり優しい人だわ」

自然と繋がれた右手は、暖かかった。

去り際、どこかで「にゃあ」と鳴く声が聴こえたような気がしたが、僕は振り向かなかった。




< 3 / 8 >

この作品をシェア

pagetop