遺伝子【短編】
プロローグ
ウーーウーー


外はサイレンが響き渡り、家の周りには野次馬や記者が人垣を作っていた。

人らしき物が、ブルーシートに包まれ運び出される。

警官達は野次馬を追い払い立ち入り禁止のテープを張った。


私は家の前で立ちすくんだまま、泣きじゃくっていた。



――夫が死んだ。



いや、殺された。



即死



死因は、首を切られ出血多量の為のショック死。

家の中は血まみれで、私さえもいれてもらえなかった。

夫のお姉さんに肩を抱かれ、門の前で辛うじて立っている私。



いや、正確に言うと



【辛うじて立っているフリ】



をしていた。
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