遺伝子【短編】
本当は噴き出す血しぶきを見ていたかったが、そうも言っていられない。
布団をしっかりとかぶし、包丁からは指紋も拭き取った。
その後、こっそりと窓から出て今に至る。
きれいに手を洗い流すと、何事も無かったかの様に元来た道を戻った。
俺は誰にも見つからない様に家に帰り、高鳴る胸を落ち着かせながら布団に入った。
そうは言っても、久しぶりの大仕事。
やはり、興奮するのを抑える事は至難の業。
さんざん、その時の事を思い出してニヤニヤと笑っていた。
しかし、なんだかんだ大仕事をしたせいか、30分後には深い眠りについていた。
ウーーウーー
俺はサイレンの音で目を覚ました。
窓の外が騒がしい。
どうやら発見されたらしい。
俺は急いで行きたいのを我慢しながら、眠そうに目をこすり居間に向かった。