遺伝子【短編】
「となり、どうしたの?」
あくまでもさり気なく聞いてみた。
「あら、起きたのね。おはよう」
そう言うと、窓の外を見た母親は心配そうな顔で
「なんか、事件みたいなのよ。怖いわ」
そう言った。
まぁ、その犯人は俺だけどね。
一応、心配した顔をしてから
「大丈夫、僕がお母さんを守るから」
と笑顔で言っておいた。
お母さんも、嬉しそうに笑顔で俺の頭を撫でたんだ。
ちなみに、俺の笑顔はよく人から
【天使の笑顔】
と言われるんだ。
多分、童顔だからだろう。
最近は俺も自覚して、故意に使っている。
なかなか効果的で、良いアイテムだ。
その時
――――ピンポーン
玄関のチャイムが鳴った。