堕天使の宿
1.気まぐれな邂逅
1.
真冬の夕暮れはやけにせっかちだ。なんとなく時計を見ると、まだ午後4時前だというのに、辺りは薄闇に支配され始めている。
私は、この時間帯に不思議なくらい人っ気のない、とある地方のローカル線の普通列車に揺られて、しばらくはその小刻みな振動にうとうとしていた。
ふと気がつくとこの車両に乗っているのは私を含めて3人だということに気がついた。
一人は、私の向かい側の席のど真ん中に座っている。どこから見ても訳ありの格好をしていた。
荷物らしきものの気配がない。服装はポロシャツに工員風のジャケット、さして特徴もない綿パンという、ありきたりの格好ではあったが、履物はどう見ても、フーテンの寅さんが履くような、いわゆる雪駄だった。
居眠りをしているようだったが、奥深い目元を見るのは、やばそうだった。
もしかするとそういった関係の方なのかなと思ったからだ。小指の一本も無くなっていらっしゃるかもしれない。
もう一人は、車両の一番端っこにいた。一見して中年のサラリーマン。
私は近眼なのでよく見えなかったが、一応きちんとしたスーツを着ているようだが、表情は憔悴しきっているようだ。俯きかげんで、焦点の定まらない視線を落としている。もしかすると瞬きもしていないかもしれない。
自殺者?
私はそう直感した。ちょっと待って。どこまで行くんだろう?私と同じ駅なら嫌だな。 えっ、あと三駅じゃない!
私は、この時間帯に不思議なくらい人っ気のない、とある地方のローカル線の普通列車に揺られて、しばらくはその小刻みな振動にうとうとしていた。
ふと気がつくとこの車両に乗っているのは私を含めて3人だということに気がついた。
一人は、私の向かい側の席のど真ん中に座っている。どこから見ても訳ありの格好をしていた。
荷物らしきものの気配がない。服装はポロシャツに工員風のジャケット、さして特徴もない綿パンという、ありきたりの格好ではあったが、履物はどう見ても、フーテンの寅さんが履くような、いわゆる雪駄だった。
居眠りをしているようだったが、奥深い目元を見るのは、やばそうだった。
もしかするとそういった関係の方なのかなと思ったからだ。小指の一本も無くなっていらっしゃるかもしれない。
もう一人は、車両の一番端っこにいた。一見して中年のサラリーマン。
私は近眼なのでよく見えなかったが、一応きちんとしたスーツを着ているようだが、表情は憔悴しきっているようだ。俯きかげんで、焦点の定まらない視線を落としている。もしかすると瞬きもしていないかもしれない。
自殺者?
私はそう直感した。ちょっと待って。どこまで行くんだろう?私と同じ駅なら嫌だな。 えっ、あと三駅じゃない!