堕天使の宿
 臆病で人見知りで、しかも人恋しい寂しがり屋。それが、私のすべて。

 そんな状況から脱出するには、どこかでリセットするべきなんだ。
 もしかして、これまでの23年間の人生に別れを告げたほうがいいのかもしれないと、甘ちゃんな私も囁くようになった。つい最近のことだ。
 いかんいかん!
 元々私は明るかったほうだ。どうすればいい?
 思い出した!そうだ、あれしかない。いつも行き詰ったときはあれに頼っていた。
 部屋の押入れの段ボール箱の中。無造作に詰め込まれたノートやスクラップ帳。その中にリセットができるものが入っている。

 「・・・やりたいことノート。」

 このノートは私が小学生のころから書き溜めていた、いつかはやってみたいことがぎっしりと書いてあるノートなのだ。ノートの中はいつもポジティブで明るい自分が待っていてくれた。
 私は、つらいことがあるといつもこのノートに頼ってきた。ノートを読み返すうちに、心がほんのり温かくなって、いつの間にか嫌な事を忘れているのだ。
 ノートの冒頭に、私が気に入っている名言が記されている。

 「この行為をしないうちは、絶望してはいけません。必ずすべて実行してから天国に行きなさい!」

 もちろん自分で書いたものだ。でも、すごくこれに助けられた。今まで何度も。
 今回の旅は、とうとうこのノートのひとつを実行する旅だった。
 
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