堕天使の宿
「近いんですか?ここから」私が訊くと、小柄な運転手が人懐っこそうな表情で応えた。

 「すぐでっさ。せやけど、あがいなとこ今時分誰もおりまへんでえ。おるんゆうたら、熊か狐か猿か鹿ぐらいでっさ」そういって下品に笑う。

 「とにかく行ってください」それ以上私はムッとして何も言わなかった。

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