Secret*Hearts


「寒い?」

「いいえ。大丈夫。」


憐の心遣いを軽くいなして、あたしは外気を吸い込んだ。
そうよ、今日は憐に聞かなきゃいけないことがある。確かめなきゃいけないことがあるのよ。

鮮明に思い出せる、佐々木さんとの会話。彼女の無邪気な笑顔。

“私が、憐のことを大好きだからだよ。”―――…


「ねぇ、憐。」

「……何?」

「憐にとって、あたしはどういう存在なの?」


あたしにとって憐は、誰よりも大切な存在だけど。
憐にとってのあたしは?

あまりにも予想外だったのであろう問いに、一瞬、憐の瞳は見開かれたけれど。
すぐに表情を戻した憐は、あたしの真意を汲み取ろうとしているのか、じっとあたしの目を見返した。


「…何か、不安なことでもあるの?」

「そんなこと、ないけど。」

「何にも無いなら、華梨はそんなこと俺に聞かないだろ。」


憐の言葉に、ぐっと言葉を詰まらせたのはあたしだった。

だって、確かに、今日佐々木さんとの接触が無ければ、あたしが今、憐にこんなことを聞くことは無かったのだから。

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