Secret*Hearts
「憐、話って何?」
華梨とは正反対に、派手めなメイクをばっちりときめた恵が、長い髪を風に靡かせて近づいてくる。
暖かい陽の光が降り注ぐ屋上、俺は恵を呼び出した。
どうしても恵に、聞いておきたいことがあったから。
恵の顔を改めて見て、先日華梨が珍しく化粧をして待ち合わせ場所に来た理由が、何となくわかった気がした。
「あのさ恵。華梨に、何か傷つけるようなこと、言った?」
「…え?」
単刀直入に問いかければ、恵は怪訝そうに俺を見つめ返してくる。
小さく首を傾げたかと思えば、ゆっくりと口を開いた。
「浅井さんが、私に何か言われたって、そう憐に言ったの?」
「何も華梨は言ってない。ただ、俺が気になってるだけだよ。」
あの日だって、俺の問いかけに華梨はただ首を横に振るだけだった。
華梨は強情だから、言わないと決めたら何度聞いたって無駄だ。
何か言われたのは確かなのに。
不安にさせる原因は、確実に恵が作ったはずなのに。