Secret*Hearts


「そう…。でもごめんね憐。私、何にも心当たりないや。ただ少し話して、浅井さんって意外と話しやすいねって言っただけだよ。」

「…何を、話したの?」

「もー、疑い深いんだから!憐が紹介してくれないから、私が自分で憐の幼馴染ですって、そんなことを話しただーけ!」


けらけらと笑う恵が、嘘をついてるのであろうことは、彼女の態度から容易に推測できたけれど。

これ以上問い詰めるのは逆効果な気がして、口を噤んでベンチに腰掛けた。
そんな俺の姿を見て、恵は何かを思い出したかのように口を開く。


「話ってこれだけ?それなら私、教室戻るよ?先生に、呼ばれている用事があるの。」

「うん。いいよ、戻って。」


素直に呼び出しに応じてくれたことに関しては、ありがたかった。
でも、何一つ収穫はなし。
結局原因は、何にもわからない。

去っていく恵の背中をただ眺めていれば、彼女は不意に立ち止まり、ゆっくりとこちらに振り返った。


「……―――あ。もうふたつ、言ったこと思い出しちゃった。」


言い放たれた言葉の意味を、すぐさま理解なんてできず、そのまま続きに耳を傾ける。
すると恵は、とても楽しそうに言葉を紡いだ。
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