Secret*Hearts
「私が、憐のこと大好きだってこと、教えてあげたの。」
「…は?」
「もうひとつはね…、やっぱりこれは秘密にしておーこう!
――私はまだ諦めてない。それだけは覚えててね、憐。」
脳裏に、中学の頃の出来事が蘇った。
“私、憐のことが好きなの。”
そう言ってきた恵に、俺は何と答えた?
“ごめん。恵の気持ちには応えられない。”
確か、そう答えたはずだ。
前々から恵の気持ちは察していたけれど、それでその話は落ち着いたと思っていたのに。
でも、今は何より華梨だった。
そんなことを告白されたから、俺にあんなことを聞いてきたのだろう。
それに、気になるのは恵が隠したもうひとつの内容だ。
それが一番華梨にダメージを与えたのだろうに、聞き出すことができなかった。
それでも華梨は、俺に言わないのだろう。
何でもないと言って、誤魔化すのだろう。
結局俺は、華梨に何もしてやれないんだ。
こんなにも、大切なのに。
傷つけたくないのに。