Secret*Hearts


「華梨。」

「何かあったとしたら、一番に憐に相談する。いつも、そうしてるでしょう?」


だから誤魔化すようにそう言えば、諦めた憐から盛大なため息が零れる。
パパと同じで、大概頑固なのよね、あたしも。それだって憐はわかってる。


「……じゃあ、そろそろ教室戻ろう。午後の授業、サボってもいいけど、またバレて怒られるのは嫌だろ?」


立ち上がった憐の言葉で、先週、初めて授業をサボってみたものの、何故かバレてしまっていて、ママにこっぴどく怒られたときの記憶が蘇った。

…確かに、そうだ。続けざまに同じことをしたら、さすがにヤバイ。
また家から出してもらえなくなるかも。

そんな思いが表情に出てしまっていたのか、憐はあたしの顔を見て笑う。
むっとしたあたしに構うことなく手なんて差し出してくるから、何も言わずにその手をとって立ち上がった。

…―――教室じゃなくって、本当にこのままどこか遠くに、連れて行ってくれればいいのに。

そんな言葉は口にできぬまま、口内で霧散した。
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