Secret*Hearts





「何で泣いてるの?」


綺麗な、栗色の髪。
真っ直ぐにあたしを見つめる、黒くて吸い込まれそうな瞳。


「つらいなら、嘘なんかつくな。」


優しく頬に触れてくれるのも、昔から変わらない。
―――あぁ、安心する。





……また、この夢か。

最近、よく憐と出会ったときの夢をみる。
本人とは、今にしたって毎日のように顔を合わせてるっていうのに、昔のことをわざわざ夢にみるなんておかしな話だ。

開けたままだったカーテンの外、2階のあたしの部屋のベランダにつながる大きな窓からは、未だに華やかに輝く街明かりが見える。

一体何時なのかと枕もとの携帯を開けば、時刻はすでに午前2時をまわっていた。

“嘘なんかつくな。”か…

そんなことも言われたんだっけ。
でも、全てが嘘であるならどんなに良かっただろうかと、今さらそんなことを思って自嘲した。

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