Secret*Hearts
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「何で泣いてるの?」
綺麗な、栗色の髪。
真っ直ぐにあたしを見つめる、黒くて吸い込まれそうな瞳。
「つらいなら、嘘なんかつくな。」
優しく頬に触れてくれるのも、昔から変わらない。
―――あぁ、安心する。
*
……また、この夢か。
最近、よく憐と出会ったときの夢をみる。
本人とは、今にしたって毎日のように顔を合わせてるっていうのに、昔のことをわざわざ夢にみるなんておかしな話だ。
開けたままだったカーテンの外、2階のあたしの部屋のベランダにつながる大きな窓からは、未だに華やかに輝く街明かりが見える。
一体何時なのかと枕もとの携帯を開けば、時刻はすでに午前2時をまわっていた。
“嘘なんかつくな。”か…
そんなことも言われたんだっけ。
でも、全てが嘘であるならどんなに良かっただろうかと、今さらそんなことを思って自嘲した。