Secret*Hearts
あたしと憐の付き合いは、小5から今、高3にいたるまで、とても長いけれど。
あたしの両親は、憐のことを知らない。憐のことどころか、あたしの交友関係も知らないんじゃないだろうか。
体面だけ気にして、無駄に変なところに厳しくて煩くて。
少しでも理想のお嬢様じゃなくなったら、どうしようもなく怒るのに。
そういうところは無頓着なのか何なのか。
でもどうせ、あたしが憐のことを紹介したらしたで反対されるのは間違いない。
あたしがすることには、なんやかんやと文句を言いたいらしく、それ自体はもう慣れたのだけど。
もし仮に、あたしがパパとママに憐のことを紹介したとして、憐を悪く言われるのは嫌だった。
パパもママも、あたしは浅井家と同じような財力がある家のご子息に嫁ぐのが当たり前だと思ってる。そんなの、パパとママの欲張りでしかないのに。
だからこそ、憐のことはずっと言えないままだった。
憐を罵倒するのは必至。パパのことだから、引き離すために憐に何をするかわからない。
…―――まだ、言えない。
そう結論を出しながらも、果たしてあたしが憐のことをパパとママに言える日が来るのかと、半ば諦めにも似た気持ちが生じた。
もう本当に、どこか遠くに行ってしまいたい。
でも、近いうちには言わなければ。
あたしが本当に、憐の傍にいたいと思うのならば。