水の怪
 亮に浮き輪まで買ってもらって、“あぁ、これはもう練習しないといけないのか”と抵抗するのをやめた。

 腰くらいまで水のつかる海の中に入ってて、私と亮の泳ぎの練習が始まったのだった……――。


●●●


 どれくらい泳ぎの練習を続けていただろう?

 何回練習をしてもうまくならなかった私が、水に浮かぶことが出来るようになるまで上達した。


「あとはそのまま足をばたつかせれば前へ進む……簡単だろ?」

「うん!なんか泳げる気がしてきた!」


 その時、知らない女の子が3人、亮に話しかけてきた。


「あの~さっきから見ていたんですけどぉ、泳ぎを教えるの上手ですよね~」

「私達にも、教えてほしいなぁ……なんて」

「だめですかぁ?」


 あきらかに、亮目当てで近付いてきた女の子達。

 亮は困っているようだったから、私が背中を押してあげた。


「私のことは気にしないで教えてあげて?私、1人で練習しとくから」

「でも……」

「いいから」


 亮は申し訳なさそうな顔を私に向けてから、「じゃあ教えます」と3人を引き連れて少し離れた海水浴へと歩いていった。

 あの女の子達は可愛いから、きっとお付き合いとかするんだろうなぁ……。


 あ~ぁ、さよなら。

 私の初恋。
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