水の怪

 プルルル……

 プルルル……

 ガチャ。


「はい、浜崎(はまざき)ですけど…」

「…………」

「あの、もしもし?」

「…………」


 ガチャ。

 ツーッ、ツーッ、ツーッ。


 隼人と付き合いだして一週間、今のような無言電話が毎日のようにかかってくるようになった。

 それだけじゃない。

 毎朝ポストには『愛してる』や『キミは俺のモノだよ』等、筆で書かれた紙が何枚も入っている。

 外を出歩けば視線のようなものを感じるし、美也は日に日に体調が悪くなっていくのだった。



 隼人と付き合いだして三週間。美也の体調に気が付いた隼人が、「顔色悪いね。何かあった?」と問うてきた。

 美也は隼人に心配や迷惑をかけたくなかったけど、このままでは自分の身が危ないと思い、遠慮がちに隼人に明かした。

 束縛彼氏がいたこと。無言電話のこと。ポストの紙のこと……。全て言い終わる頃には、美也は恐怖と安堵で涙を流していた。

 そんな美也に、隼人は優しく肩を抱くのだった……。
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