魔法使いからメッセージ
カラン
と、瞬時兄さんが店のドアを開いた。同時に鳴るベルの落ち着く音色。
「段差があるぞ」
ドアノブに手を掛けたまま、アタシの背中にそっと腕を回して、毎度のように優しくしてくれる。
瞬時兄さんに誘導されて、店の中に入っていく。
濃い茶色の木材の色が、目の前一面に現れた。
壁、椅子、床、テーブル‥‥‥全てが木材の優しい暖かい色をしている。
「マスターどうも」
瞬時兄さんは、店の奥に入りながら、カウンターでグラスを磨いている男性に話しかけた。
「おっ瞬時くんまいど!‥‥‥ってあれ?瞬時くんそっちの子、彼女かい?やるねぇ!さっすが、モテる男は違うね!」
と、瞬時兄さんの後ろに何気に隠れているアタシをのぞきながら、男性はいきなり茶化し始めた。
「ってええ!?違う違う、違うよ!なんて事言ってんだよ!」
アタシはビックリして思わず叫んでしまった。
「ふざけないでください、マスター。例の子ですよ。それにモテた試しなんてありません」
「おぉそうか。これはこれは失敬」
「マスター分かってて言っただろ」
瞬時兄さんに軽くキレられてやんの、このオッサン。
「知らんかったよ。いやーでもお似合いだよ!このノリで引っ付いちゃえば」
「「だから違うって!!」」
あ‥‥‥ハモった。ハモった瞬時兄さんと!
「何ハモっちゃって。もーできてんだろう?プフフ」
「だから~!」
んも、しつけなこのオヤジ!