俺様 海様 イケメン様
「う、ん……」
海の願いとは裏腹に、
ポロポロとこぼれ落ちる涙。
「はあぁ、やっぱ泣く」
「きゃ……」
海は繋いでいた手を引っ張って、
あたしを引き寄せる。
周りからは痛い視線が送られてるけど、
今はそんなの関係ない。
「毎日連絡するから。泣くなら電話越しに泣け」
「う、ん……」
ありがとう、海……。
海はあたしを解放すると、
そっとキスをして電車に乗った。
海は最後に、
「指輪の内側、見ろよ」
ニヤリッと笑って左手の薬指についている
指輪をさす。
「……え?」
「じゃあな」
意味を聞く前に、
電車のドアが閉まる。
海を乗せた電車は、
ゆっくりと動いて行った。