僕は君のものⅡ
どのくらい時間がたっただろうか。
香織も落ち着いてきたようだ。リズムよく呼吸をしている。
「香織。」
名前を呼ぶとゆっくり顔を上げた。
「桐谷くん、ありがとう。ちゃんとお別れしてきた。自分の気持ち伝えてきたよ。」
「うん。頑張ったな。」
「私、本当に本当に、翔のこと大好きだった。今も忘れられなくてっ・・・大好きでどうしようもなくてっ・・・っヒクッ、ヒクッ・・」
泣き止んだ香織の涙がまた溢れ出してきた。
「もうしょうがないな。香織は泣き虫だね。」
そっと香織の顔を両手で包んだ。そして、俺のほうに向けた。
「ちょっ、顔ひどいからあんまり見ないでよぉ。」
「ダーメ!そんな顔も見たい。」
「・・・・バカ。」
今度は香織が笑った。嬉しくてギュッと抱きしめた。
しばらくすると泣きつかれたのか、俺の腕の中で寝てしまった。
普通こういう状態で寝るか?
俺は香織の柔らかさと匂いで、理性が崩れそうだというのに。男として見られてないのかなぁ。
少し悲しくなりながらも、香織が起きるまで、そっとしておいた。