僕は君のものⅡ
「あら、弘樹。柏木先輩と知り合い?」
有紗が江藤くんに話しかけた。
「んー・・ちょっとね。」
なんでそんな意味深な言い方をするのだろう。泣けてくる。私の肩に乗ってる隼人の手はさっきから、力が入ってるし。
それにしても、この二人並ぶとすごい迫力だ。かなりの美男美女。あまり似てないから、兄妹だとは思わない。
そんなことを考えてると、有紗が私の目の前まで来た。
「ということで柏木先輩。私、隼人先輩を彼氏にしますから。」
その一言に便乗して、江藤くんも言った。
「それじゃあ、僕は遠慮なく、香織先輩にアタックできるな。」
すると今まで黙っていた隼人が、強い口調で言った。
「香織は渡さないから。」
この状況に一人おろおろして、助けを求めたくて明日香を見たら、案の定、目がキラキラしていた。こういうテレビみたいな展開好きだからな。自分でなんとかするしかないのか。
ちょうど運良くチャイムがなってくれた。
「隼人先輩、また来ますね。」
「香織先輩、またね~。」
それだけ言うと、二人は教室から出て行った。