僕は君のものⅡ




どのくらい時間がたっただろう。



部活に戻らなくちゃいけないのに、こんな顔じゃ戻れない。


トイレに行き、顔を洗ってたら、今一番会いたくない人に会った。


有紗だ。


彼女は私が泣いてるのか気付いたのか、わざとらしく話しかけてきた。



「あれ?香織先輩?どうしたんですか?隼人先輩と喧嘩でもしたんですか?」



私は、なにも言えずにいると、さらに意地悪く言ってきた。




「私、隼人先輩の事、本気になってもいいですか?さっきも私を受け入れてくれました。」



やっぱりキスしたんだ。



「明日からお弁当作っちゃおうかな。あ、私、隼人先輩と帰る約束してたんだ。」



それでは、というと彼女は去っていった。



せっかく止まった涙がまた溢れ出してきた。




もう、真正面から話す勇気なんてないよ。


私の軽はずみな行動で、こんなことになるなんて、思わなかった。




このままじゃ部活に出れるわけでもなく、体育館に戻って、監督に体調が悪いと告げて、今日はそのまま帰ることにした。
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