二人のおうち
「服を……着て下さい」
「服?」
沙帆はすぐさま理解ができず、不思議そうにぱちぱちと瞬きをする。
沙帆がふと我に返るときには、目の前に顔を真っ赤にした洋太が目のやり場に困った様子で俯いていた。
「きゃっ!嫌だ!」
思わず沙帆はシーツを手繰り寄せて、一糸纏わぬその身を隠した。
「ごめん沙帆……その、あまりに風呂場から出て来ないから」
「ごめんなさいっ、洋太さんこんなに恥ずかしいことっ」
「いや、その、うん」
二人は恥ずかしさに耐えられず、黙り込んでしまった。
ああ、何と言う恥ずかしい体を、沙帆はうなだれていた。
ふと気付くと、洋太が沙帆をじっと見ながらにやついていた。
「や、やだっ。そんなに見て、一体どうしたんですかっ」
「いや、だってなあ」
先程の顔を真っ赤にしていた洋太はどこへやら、洋太はにやりと妖しい笑みで沙帆を眺めていた。
「そんなに見ないで下さいっ」
沙帆はシーツをこれでもかというほど手繰り寄せ、そのシーツへとくるまっていた。