二人のおうち
「誰って」
「ここ、俺の部屋だけど」
「え?」
沙帆は自分の耳を疑った。
ここは今日から一人暮らしをする自分の部屋であり、不動産屋ではそのように手続きをしたし、今荷物を運んでいる真っ最中だと言うのに。
この男は一体誰なのか。
「あ、荷物を運んでいるってことはあんたが立河沙帆か」
「えっ、どうしてあたしの名前」
ますます怪しい。
すると男は沙帆に向かってとんでもないことを言い出した。
「どうしてって、今日から一緒に住むんだろう?」
「はい?」