二人のおうち
また約束が一つ増えたなあ、と沙帆は呑気に思った。
隣りでは洋太がどのアイスクリームを買おうかと悩んでいるらしい。
「あの、洋ちゃん洋ちゃん、お菓子も買っていい?」
「ん、ああ。いいぞ、選んでこい」
「やったあ」
財布片手に嬉しそうにスキップする沙帆に思わず笑みがこぼれる洋太。
「どれにするかな」
「洋ちゃーん」
「どうしたー?」
まだアイスクリーム売り場で悩んでいる洋太に、お菓子売り場から沙帆が話しかけた。
「そんなに悩まなくても、欲しいアイスを買いたいだけ買って冷凍庫に入れておけば大丈夫だよー」
「あっ、確かに」
「でしょう」
満更馬鹿な子なわけではないらしい。
少し安心したと同時に、自分はそれ以下かと思い悩む洋太だった。
「それじゃあこれと、これと」
「洋ちゃん先に払いますねー」
「ああ」