二人のおうち
 

「沙帆の部屋は何色が良いんだ?」
 

「ううん……そうだねえ」
 

 
沙帆は先程から唸っている。
どうやらカーテンをサーモンピンクにするか、淡いオレンジ色にするか迷っているらしい。
 

 
「ううん……。ねえねえ、洋ちゃんはどっちが良いと思う?」
 

「俺が決めるの?」
 

 
自分では決まらないからと沙帆は少しだけ苦笑した。
洋太は口元に手を当てて、沙帆と2色のカーテンを見比べながら唸った。
 

 
「沙帆は……、そうだな」
 

「どっち?」
 

「サーモンピンクかな、可愛いから」
 

「かっ可愛い!?」
 

 
おお、良い反応だ。
 

顔がほんのりと赤くなる沙帆。
どうやら沙帆は露骨に言葉にすると恥ずかしいようだ。
 

 
「それじゃあこれにしようかなっ……」
 

 
沙帆は慌ててそのカーテンを抱えてその場を離れてしまった。
 

 
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