二人のおうち
その翌朝、いつにも増して沙帆は早起きだった。そして何故か洋太も沙帆に、早朝から起こされた。
「どうしたんだ……、えらく早いな」
むくりと体を起こして沙帆を見た。
「……」
まるで子どもがスーツを着ているようだ。
少し童顔な沙帆は少し化粧をして、真新しいスーツを身に着けていた。
「朝ご飯できてるからね!もうあたし、着替えたから出ます」
「あ、行ってらっしゃい」
「はい、行ってきます!」
「何時頃に終わるんだ?」
「えっと、二時には終わる予定だけど」
「了解」
洋太は手を小さく振り、沙帆を送り出した。それから、沙帆のいなくなった部屋でひとり、何をしようかとぼんやり考え始めた。
この部屋に沙帆がいないというのは、洋太初めての経験だった。
それは全く妙なもので、静かな部屋は酷くしんみりとしていた。
洋太は用意されたトーストと味噌汁を食べ始めた。