二人のおうち
一方、沙帆は慣れないスーツに緊張しながら、これから通う大学へ向かっていた。
部屋からは歩いていける距離だ。その為に一人暮らしをしようと思った。
結局は洋太という人物と同居することになったけど、と思いながら、沙帆は大学の門を潜った。
そこには自分と同じようにスーツを着た学生達が騒いでいる。
沙帆はドキドキしながら受付へ向かい、入学式を待った。
「新入生?」
高校とは違う大規模な雰囲気に圧倒される沙帆に、一人の新入生が声をかけた。
「そうです」
「良かった、仲間だ。小内皐月です。よろしくね」
「あ!立河沙帆です、仲良くしてね」
沙帆はそのボブヘアの皐月と握手をした。
早くも仲良くできそうな子を見つけたと思い、沙帆は嬉しくなった。
それからあっという間に入学式は終了した。この日は入学式だけで、それが終わると少しの説明会と、サークル活動の勧誘などかあった。
気付けば午後二時になろうとしていた。