不朽花
「ねぇ!親いないってどうゆうこと?」
「は?そのまんまだけど……」
「なんで!?いつからいないの!?」
「どうした?」
「いいから!」
「小3のときの誕生日だったかな」
「誕生日何日!?」

まさか…

「2月14日だけど?」
「っ…!!」
「そのときさ、全く同じ境遇の女の子がいたんだよ。その女の子はお前みたいな感じでさ、父親が出てって母親が自殺したって言うんだ。しかもその子も誕生日でさ、自分の手作りチョコを持ってた。俺も誕生日だよって言ったら、自分が辛いのにもかかわらず笑って、『辛かったね。これはバレンタインのチョコとして貰って。誕生日おめでとう。』って言ったんだ。でも、その子も辛いのに俺だけいい思いはできないって思って、じゃあ半分ずつにしようって言ったら、笑顔で『ありがとう』って言ってくれた。俺の……初恋だったよ。それからすげぇ仲良くしてたんだけど、名前を聞くのを忘れてその子は引っ越しちゃったんだ。俺は俺で母方の婆さんに育てられたからそのまま別れて終わったんだ。なんかごめんな。誕生日聞かれただけなのに長々と話して。でもなんでそんなこと聞いたんだ?」
「……春樹のことフッた理由はね、初恋の男の子を忘れられないからなの。その人は私が辛いとき、傍にいて慰めてくれた。だから、その人に会ったら私は告白しようと思ってた」
「……複雑だけど……応援するよ。惚れた女の幸せを願わねぇ男は最低だしな」
「ありがとう。………好きです」
「え……?」
「その……初恋の相手っていうのが春樹なの」
「嘘だろ……?でもなんで俺って思ったんだ?……まさか……」
「そうだよ、そのまさか。バレンタインが誕生日で、ちょうど親がいなくなって、チョコを一緒に半分ずつ食べたなんていう人なかなか二人もいないよ。ていうか春樹キャラ変わってるね。俺様だったのに普通の男の子みた……」

あ、あれ?

私、あっちに座ってなかったっけ……?

なんで春樹の腕の中にいるの!?

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