不朽花
〔高一 前日〕
高校受験が終わり、明日から第一志望の高校に行けることになった。
人は羨ましいと言うけれど、私はそう思わない。
そこまで努力したわけじゃない。
どうしてもこの高校じゃなきゃ嫌だとも思わない。
ただ、なんとなく。
でも、人にそんなことは言えない。
きっと、自慢してるだけと思われるから。
だから私は、誰かに本音を話したことが一度もない。
たとえ嘘でも、クラスの中心的存在でいて損になることはない。
ただ一つ、損だと思うことがあるとすれば、それは責任だと思う。
クラスを仕切る役として、何か問題を仕出かした時には、私がすべての責任をとらなければならない。
それは厄介だが、それのみを除けば結構いいものだと思う。
私が明日から行く学校には、私の表の顔の時に仲がよかった人達がたくさんいる。
だから、高校生活でもさほど変わらないだろう。
私が表の顔でクラスの中心的存在になるのは目に見えている。
こんなことを高校を卒業してからも考えると思うと、生きることが億劫になってくる。
いつかは死ぬんだからそれが遅いか早いかの違いだろう。
でも、死にたいとは思わない。
今は亡き両親が、私を一生懸命育ててくれたと思うと、それ以上の親不孝はないと思ってしまう。
我ながら、どうしたいのかがわからない。
だから、とりあえず生きてみようと思う。
『生きていれば、きっと何かが起こるはず。』
そう言っていた両親を信じて。