神の使者

俺はここにいる。でもベッドの上にも俺がいる。しかも遺体となって…。
ならここにいる俺は誰なんだ？ていうか、俺本当にトラックに跳ねられて死んだのか？
嘘だろ？
と、美樹の泣き声が聞こえる。
「私を送ったりしたから…達也はこんな目に…。私のせいで…」
激しく自分を責める美樹の肩に父親が手を置く。
「美樹ちゃんのせいじゃないよ。あいつは子供を助けたんだ。あいつらしい最期だったよ」
「ちょっと待てよ、父さん！」
父親まで目に涙を浮かべ、達也は父親を掴もうと手を伸ばした。
「俺は死んでない！俺はここにいる！」
掴もうとした瞬間、達也の手は父親の体をすり抜け空を掴んだ。
「……」
触れない…。俺、マジで死んだの…？
「達也ー！」
母親の声と美樹の涙が胸に激しく突き刺さる。