神の使者
「借金に追われて自殺した」
「自殺…」
まだ若いのに何で自殺なんて…。
「行くぞ」
考える達也を置いて零はさっさと行ってしまう。達也もその後を慌てて追い、零が女に声をかけた。
「お前を神の元へ送ろう」
零が声をかけると女は驚いたように目を丸くした。それもそうだろうな。死んだ自分に普通に声かけて来るんだもん。
やっぱり零は相手の反応も気にせず話す。
「送る前にお前の願いを叶える。何かあるか?」
すると女は零から視線を外し、また校門に目を向けた。
「私は…神の元へ逝けません。ここに残ります」
「お前は死んだんだ。このままこの世に残っていると、悪魔が来てお前を悪霊にするぞ」
「悪霊…?」
零の言った悪魔と言うのがどんなものなのか分からなかったが、何となく嫌な響きだ。
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