神の使者
と、零が男の背後に立つ。
「お前を神の元へ送ろう」
男はゆっくりと顔だけを振り向かせ、達也達を見ると眉間に皺を寄せた。
「何だお前?」
まだ二十代前半ぐらいだが、いきなりケンカ越しだ。不良の癖なのか?
そんな男に零は表情を変える事なく冷静に答える。
「お前を神の元へ送る為に来た神の使者だ」
「あっそ。だったら早く連れて行けよ」
「その前にお前の願いを叶えてやる。何かあるか?」
「ねーよ」
「本当に無いのか?」
「ねーって言ってるだろ!早く連れて行けよ!」
とうとう男は立ち上がり、零の胸ぐらを掴んだ。
「何、こいつ…」
せっかく無念を晴らしてやろうと思ってるのに、何だこいつの態度。
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