神の使者


達也が待ち合わせ場所の駅前に着いたのは、約束の時刻より一時間遅れてからだった。
休日のせいもあって人がごった返していたが、人混みの中で腕時計を見ながら不機嫌そうに立っている彼女、美樹(18)を見付けた。
美樹とは中学の頃からの付き合いで、色白で目が大きくてしかも性格のいい美樹を好きになり告白した。高校も同じ高校に進み、美樹は達也にとって家族と同じくらい大切な存在。
だが、その大切な人を怒らせてしまった。
達也は慌てて美樹に駆け寄り、おはようの挨拶も無しにバッと頭を下げる。
「ごめん!美樹!」
美樹は時計から目を離し軽くため息を吐いた。
「遅いよ達也」
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