神の使者
もう俺に祐介を救う事は出来ない。早く逃げないと俺も祐介みたいに悪霊になってしまう。頭で分かっていても体が動かない。
そして、死神の鎌が達也に向かって降り下ろされた。
その瞬間、パンという乾いた音が響き死神の手から鎌が離れた。
ふっと視線を動かすと、達也のすぐ隣に銃を掲げた零が立っている。銃弾で鎌を弾いたのか。
達也が冷静にそんな事を思っていると、零は抱え込むように達也の首に腕を回す。
「神よ!」
零が短く叫ぶと、達也と零はその場から一瞬で姿を消した。
死神と、悪霊になった祐介を残して。
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