神の使者
だがこの間零から貰ったナイフは取り上げられてしまい持ってない。
素手で勝てる相手じゃない事は分かっているが、武器がないから素手で何とかしなければならない。
「魂…貰うぞ」
死神は呟くと一瞬で距離を詰めて来た。奴の鎌が妖しく輝く。
達也は反射的に両手を前でクロスさせ防御の姿勢を見せる。
無論、こんな事で鎌を防げる訳ないが、何とか隙を作って祐介を追いかけるんだ。美樹を助けられるなら、腕の一本や二本どうなったって構わない。
もう目の前まで死神が来て達也が目を閉じた時、パンと銃声が聞こえた。
その音を聞いて目を開くと、死神は少し離れた所で腹から血を流しながら膝を着き、達也の背後をギッと睨み付けている。
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