神の使者


美樹は大きな川を跨ぐ橋の上で、穏やかに流れる川を見つめていた。
この橋は学校の帰り道に通る場所で、達也が生きていた時はよくここから一緒に川を見ながら話していた。
ある夏の暑い日に達也がここから川に飛び込んだら涼しそうだな、と言った事があるが、それを必死に止めたのを覚えてる。
この川は流れは穏やかだが水深がとても深く、遊泳禁止となっているほど危険な川。それを話すと達也は残念がっていたけど、大切な恋人を危険な目に遭わせたくない。
「達也…」
いつもデートに遅刻するけど、優しくて家族や私の事を大事にしてくれて、困ってる人を見るとほっておけないお人好し。そんな達也が大好きだった。
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