神の使者
達也が死んでからずっと続いていた頭痛に襲われ、美樹はその場にしゃがみ込んだ。
「美樹…」
ああ、とうとう幻聴まで聞こえるようになった。でも、幻聴でも達也の声が聞けて嬉しい。
ぼんやりとそんな事を考えていると、また声が聞こえた。今度はハッキリと。
「美樹」
美樹がハッと顔を上げると、道を挟んだ反対側に達也が立っていた。
「達也…?」
達也は死んだはずなのに、何でいるの?
美樹は多少混乱したが、ずっと会いたかった恋人に会えてすごく嬉しくて、涙も出て来た。
「達也!」
叫ぶと達也は少し寂しそうな表情を浮かべ、
「美樹…翔梧と付き合うのか?俺がいるのに」
「達也…」
達也は私の事をずっと見ていてくれたのか、告白された事を知ってる。
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