神の使者
「俺は今でも美樹が好きだけど、俺はもうこの世にいない。いつも美樹の傍にいて守ってやる事も出来ない。でも翔梧なら出来る。あいつは俺が認めるほどの男だ」
「達也は寂しくないの?」
美樹が見上げると、達也は美樹の頭を撫でる。大きくて温かい手。
「寂しいよ。でも泣いてる美樹を見るのはもっと寂しい。惚れた女には笑っててほしいからな」
「達也…」
ああ、本物の達也だ。優しくて大きくて、私の愛した達也だ。
「幸せに笑っててくれ。それが俺の願いだから」
そして達也はすーっと消えて行った。
「ありがとう、達也」
今までたくさんの思い出と愛情をくれて。達也に出会えて本当に良かった。
達也との思い出を忘れず胸に刻んで、私は達也の願いを叶えるから。
ありがとう、達也。
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