神の使者
達也が目を覚ますと、そこは病院だった。
真っ白な廊下に白い天井と床。鼻に付く薬品の匂い。間違いなくここは達也の家の近所にある総合病院。
「何で俺ここにいるんだ?」
トラックに跳ねられたのは覚えているが、普通は病室のベッドにいるはず。
だが達也のいる場所は廊下だった。病室の前の廊下で普通に座ってる。
しかもあんなに全身が痛かったのに、今はどこも痛くない。
血も出てないし…あれは夢だったのか?でもあの痛みは本物みたいに痛かった。
何が何だか分からない達也が何気なく目の前の病室を見ると、父親の背中があった。
「父さん、こんな所で何やってんの?」
達也が病室に入り声をかけるが、父親はいつもは見せない厳しい顔を浮かべていた。