神の使者
十分ほど電話してから彼女の元に戻ると、彼女は頭から血を流し倒れていた。
最初は悪い夢を見てるんだと思った。日々の仕事で疲れていたし、幻覚を見てると思った。
だがいくら待っても彼女は目を覚まさないし、頭から流れる血が雪を赤く染めるだけだった。そして、冷たい彼女の体を触って彼女が死んだ事に気付いた。
警察の調べでは彼女の持ち物が無くなっていたから、強盗の仕業だろうと言われた。
プロポーズした時、必ず守っていくと約束した。俺はそんな約束さえ守れず、愛する人を失った。
そして俺は彼女のいない世界で生きていく事が出来ず、会社の屋上から飛び降りた。
あの世に行けば彼女に会えると思ったが、死んだ俺の前に現れたのは神の使者だった。
それから俺は神の使者となり、多くの魂を神の元へ送る事になった。
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