EIGHT8
54 LOVE
会社を出て、お気に入りの青い傘をさしてゆっくり歩く。
通路は雨のせいか人通りは少ない。
パチャッ、パチャ。
わざと水溜まりに入りながら遊んで帰る。
…みんな優し過ぎるんだよなー
少しくらい怒られて当然なのに。
スタッフさんもメンバーのみんなも…優し過ぎるよ。
甘え過ぎてる…よね。
優しさに甘えちゃダメだ。
強くならなきゃ。
一人でも立ち向かえるような強さを。
泣いてる場合じゃないんだ。
こぼれそうな涙をこらえて前を向く。
よし、歌おう!
テンション上げるためにっ
「〜♪」
『〜♪』
私が歌い始めると後ろから歌声が聞こえた。
ゆっくり振りかえると、
「真太郎…」
與「暗いから送ってったる」
「いいよ!遠いし!」
真太郎は無視して駅に向かって歩いてく。
「ちょっ…」
與「はよ帰るで」
ダメだ。
話を聞いてくれない。
勝手なヤツだ←
それから、
電車に乗ってまた歩き出した。
歩いてたら、
やんでいた雨がまた降りだした。
「また降ってきた…って真太郎傘は?」
與「忘れた」
馬鹿…←
「入る?」
與「ん」
「…〜♪」
與「…」
「雨の日って歌いたくなるよね。雨で声がかき消されるから大声で歌えるし」
與「…珠希の声は、一緒に歌いたくなる」
「はじめて言われた」
與「さっきも気づいたら歌ってた」
「…ありがと」
與「ん」
「もう少しで着くよ!」
與「ほんま?」
「うん…ここ!」
與「じゃ、俺帰るな」
「タオル貸すから上がってって!」
與「いらん」
「ダメ!風邪ひくもん!」
ということで、
真太郎と家に帰宅。